マミフラワーデザイン展2016 出品レポート その2

1ヶ月後の4月初旬、次のお花を届けてもらう頃には、花のつき方が少し違うだけの色違いかと思っていたセサミオレンジとセサミイエローは、明らかに違いが出ていました。オレンジは想定どおりきれいに実ったのですが、イエローは花びらがまだ残っていて、子房もうまく膨らまず、茎の方が先に傷んでしまいそうな状況でした。 受粉がうまくいっていないのか、品種の差なのか理由はわからなかったのですが、普通、お花が長持ちなのは喜ばしいことなのに、なんだかドキドキでした。わなびやさんのアドバイスどおり、最初に多めに試してみてよかったと思いました。 状況を伝えたところ、4月はセサミオレンジとグリーンエッジという品種を送っていただきました。

この2種類はとても順調で、構想どおりいけそうだったので、4月中旬に具体的なデザインの相談をしようとマミフラワーの大森山王教室へ出向きました。そこで対応していただいた高見先生に、三宅さんのお花を使うことを話したら、先生も三宅さんのことをご存知で、マミフラワーの月刊誌「FLOWER DESIGN Life」の1991年4月号を見せてくれました。アルストロメリアの特集で、三宅さんのお父様が書かれた記事が載っていました。20年以上前にすでにマミフラワーと三宅さんのつながりがあったことが、なんだかとても嬉しくて、花業界の歴史も感じて、絶対いい作品にしよう~!とやる気がわきました。

写真:フラワーデザインライフ1991年4月号より

4月下旬、だんだん暖かい日が増えてきたせいか、茎が傷みやすくなってきました。また、受粉をせっせとやりすぎたせいか、気候のせいか、冬の寒い時期に比べて、花から実になるのが速くなってきたように感じました。ちょうど、グリーンエッジが実もついて2番花も咲いて綺麗な時期で、散りかけからドライのものまで色々揃い、今、作品展だったらよかったのにーという気分でした。どうしようかとても迷いましたが、作品展まで、まだ3週間あるので、わなびやさんの仕入れとタイミングがあえば、1回追加しようと思って連絡してみました。
そうしたら、なんと、「今日出荷で、もうお昼過ぎているので追加は難しいです。来週、入荷検討中なので、仕入れることになったら発注しておきますね。」とお返事いただきました。あー、もう少し早く連絡すればよかったー、来週入荷あればいいなーと思いつつ、あきらめていたのですが、夕方になって、わなびやさんから連絡があり「あの後、三宅さんから電話があってグリーンエッジもあるので、明日入荷出来ることになりました!」とのことで、びっくりでした。なんだか、三宅さんのお花がタイミングを教えてくれたような気がして、見えない力を感じ、きっとうまく進んでいるんだろうなーと安心することが出来ました。

5月に入り、いよいよ作品展が近づいてきました。花後の実ったものを揃えることに頭がいっぱいで、直前に準備する咲いている花の事をあまり考えていなかったのですが、わなびやさんがきちんと連絡をくれて、花の色や品種の希望、葉ものの要不要など、丁寧に聞いてくれました。全体の統一感を考えて、これまで実らせてきたのと同じカリオフィラエア系にすることにしました。また、写真うつりや華やかさを考えて、赤かオレンジか黄色系のはっきりした色の大きめの花のもので、作品展の時期にあるものを送っていただくことにしました。
2種類くらい混ぜた感じでいいかなーと思っていたのですが、わなびやさんに8種類も入荷して、わざわざ全部写真をとってメールをいただいたので、オレンジ色から黄色にグラデーションになるように選びました。その後、わなびやさんから届いたお花は、おまけとして少し多めに入れてくれてあって、実際の作品展の時に予備花として途中で追加、交換できて、とても助かりました。

マミフラワーの専攻科で育種の授業があります。花の品種のデザインは国民性や文化の影響が出るそうです。例えば、パンジーの場合、オランダのデルタプレミアムというシリーズはとても合理的で、カラーパレットのようにはっきり色の区別がつき、模様のありなしで、ある意味工業製品のような考え方で品種展開されています。一方、イタリアのムーランルージュというシリーズは、フリルがついた花びらで、色が混ざっていてばらつきがあり、イタリア人らしい絵画的な色彩感覚で展開されているそうです。
日本人は中間の色を作ってしまって、どれが売れ筋かわからなくなると授業では言われていましたが、三宅さんのお花は、本当に繊細で微妙な色のグラデーションや形の違いで、とてもたくさんの種類があり、それぞれにぴったりの名前がつけられていて、選ぶのも楽しくなります。日本人ならではの感性なんだろうなーと感じました。

続く…
次回記事 「マミフラワーデザイン展2016 出品レポート その3」